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その家に着いたとき、もう日はとうに暮れて、
あたりには虫の声が響いていた。
滞在中はこの部屋に。
と、通されたの客間は、天井に明かりがなく、
まあるいキャンドルランプで光を灯された、古めかしい印象の南側の一室で、
毛足の長いカーペットが引いてあった。
「賑やかなところからいらっしゃったら、
此処は田舎でびっくりしたでしょう?」
部屋への案内と荷物持ちに。
と一緒に歩いてきた、渡流君が
紅茶を入れながら話しかけてくる。
なんと返事をしたものか……
と、考えあぐねて微笑みを返すと、ふと、近くに人の気配を感じた。
「ずるいわよ。渡流」
「毎日ちゃん…」
何もないはずの場所から、ふっと目の前に現れた女の子は、
慎お兄ちゃんと同じ、赤い瞳をしていた。
「こんな可愛い子の案内、1人だけでするなんてずるいじゃない」
「そう思うんならせめて普通に歩いてきてよ。禮さんがびっくりするでしょう?」
「だって、来た一番最初に会えなかったんだもの。
ちょっとくらいインパクトのある出会い方したいじゃない」
ぺたん。と、椅子のすぐ横に膝を着いて
顔を覗き込んでくる彼女は、女の子にしてはかなり背が高かった。
「禮ちゃん、はじめまして。
わたしは毎日っていうの、よろしくね」
ようこそ、と上機嫌な彼女の声の後ろで、渡流君が、ちょっとだけ肩をすくめていた。
(20080912)
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2008年9月10日より我が家にご滞在いただいてる、笑さま宅のダイキ工業KAIKOドール
禮さんです。