・INDEX・   ・TOP・   ・MAIN・   ・BLOG・   ・BBS・   ・LINK・ 
---------------------------------------------------------------------


その家に着いたとき、もう日はとうに暮れて、
あたりには虫の声が響いていた。

滞在中はこの部屋に。

と、通されたの客間は、天井に明かりがなく、
まあるいキャンドルランプで光を灯された、古めかしい印象の南側の一室で、
毛足の長いカーペットが引いてあった。






「賑やかなところからいらっしゃったら、
此処は田舎でびっくりしたでしょう?」

部屋への案内と荷物持ちに。
と一緒に歩いてきた、渡流君が
紅茶を入れながら話しかけてくる。




なんと返事をしたものか……
と、考えあぐねて微笑みを返すと、ふと、近くに人の気配を感じた。

「ずるいわよ。渡流」




「毎日ちゃん…」


何もないはずの場所から、ふっと目の前に現れた女の子は、
慎お兄ちゃんと同じ、赤い瞳をしていた。





「こんな可愛い子の案内、1人だけでするなんてずるいじゃない」

「そう思うんならせめて普通に歩いてきてよ。禮さんがびっくりするでしょう?」

「だって、来た一番最初に会えなかったんだもの。
ちょっとくらいインパクトのある出会い方したいじゃない」





ぺたん。と、椅子のすぐ横に膝を着いて
顔を覗き込んでくる彼女は、女の子にしてはかなり背が高かった。


「禮ちゃん、はじめまして。
わたしは毎日っていうの、よろしくね」

ようこそ、と上機嫌な彼女の声の後ろで、渡流君が、ちょっとだけ肩をすくめていた。

(20080912)

---------------------------------------------------------------------



2008年9月10日より我が家にご滞在いただいてる、笑さま宅のダイキ工業KAIKOドール
禮さんです。


inserted by FC2 system